automatik

時々思い出して何かを書いてとどめておくだけ

不採録を受けて

COLING2020の不採録

We are sorry to inform you that your submission...

Notificationは二日後だと思っていたのに突然メールが来て, 書き出しの文章から論文が落ちたことを知った。 この数日間は論文が通るか落ちるかがずっと気になっており「あれで落ちるのかな, 落ちたら悲しいだろうな」と思っていたのだが, 意外にも落ちた時の正直な感想は「落ちてホッとした」というものであった。

これから始まる博士課程に向けて, 自分の気持ちの整理のためにここに記録を残しておきたい。

全ては成果のために

私は去年4月に大学院に修士課程から入学した。専攻を情報系に院から変更したが, 自然言語処理に関しては入学前から興味を持ち自発的に勉強はしていた。その中で, 「世界の場で活躍するためには, 業績を上げて行くことが必要なのだ」と強く考えており, また入学してからはそのように行動した。他の同期の学生と比較してテーマを決めるのもそれに取り組むのも早かっただろうと思う。早く国際会議へ, 論文誌へ。入学して3ヶ月経った7月には論文を投稿し, 採択された。そこから連続で論文誌も, 他の国際会議にも採択され, いよいよ目指すところはトップカンファレンスだと, そして自分ならそれができるはずだと根拠のない自信だけがあった。

ECCV, COLINGの不採録

上記の7月に通った内容をもとに, 論文をさらに発展させてコンピュータビジョンのトップカンファレンスであるECCVに論文を投稿した。某研究所にインターンをさせていただいている時の話である。図も文章もギリギリまで推敲し, 色々な人からレビューを受け修正したが, 結果はあっけなくRejectであった (今改めて当時の原稿を読んでも「これはダメだな〜」と思うので, この件に関しては完全に時間切れだという他ない)。

そのReviewを踏まえてCOLINGへ再投稿した。この時も学振と締め切りが近く半泣きでやっていたのだが, (見かねた)共著者の支えによって図や表は見やすくなったし, 本文もかなり改善された。COLINGの過去の論文と見比べても見劣りしない, 「これはいけるんじゃないか」...しかし結果は再びRejectであった。Reviewerの評価は全体的に高かったものの, あと1歩及ばず, といったところだった。

考え方を変える

この連続した2回のRejectは私は自分の考え方を大きく変換するきっかけとなった。今までも研究は楽しかった。しかし, 研究を通して知ることを楽しみ世にその成果を発表するということよりも, いかに早く論文を通すかという点にばかりこだわっていた。2回論文が落ちてホッとしたのは, この考えに拘り過ぎた自分が立ち止まって冷静になることができたからかもしれない。成果を出すことは研究者として大切である。ただそれ以上に, 問題について深く知り, 考察し, 新たな礎を築き上げて行くこと, そして好奇心を持って研究に取り組んで行くことが大切であろうと自覚した。

こんな大切なことを修士に入り, 卒業するまで気づかなかったのは本当に愚かであろうと思うのだけれど, 今回の件で考え直すことができた。2回のRejectは高い勉強代と思って, また来週からも真摯に研究に取り組んで行こうと思う。結果は後からついてくるはず。博士課程の3年間, とにかく楽しもう!